先輩が運転中、睡魔に襲われながらなんとか19時30分頃到着。
久しぶりの実家の玄関を開けようとすると開かない、真ん中から開けろと中から声。地震で開かなくなったみたいだ。
10畳くらいの茶の間を見ると、5畳しか敷いていない。ここで食事なんかをしてるという。正面の砂壁はベロリとはがれ落ちている。1階全体が水没してしまったらしい。
寝るのは2階。奥の座敷は床板がなく、床下が丸見え状態。
家がもう限界だと言わんばかりに、家中が壊れている。
築40年は建つであろうボロ家を親父は愛している。僕が小さい頃から、この家は基礎の木が立派だからどんな震災がきても大丈夫だと自慢されてきた。小学生の自分に自慢されてもな。
4月7日の大地震があったときも尋常じゃない揺れに、おかんはもうだめだ、家がつぶれると思ったらしいが、その時親父は、頑張れっ家!!と、叫んでいたという。そのお陰か分からないが今も家はなんとかもちこたえている。
到着するなり、ご飯を食べながら、震災の話題で暗くなる。どれだけ恐い体験をして、ここまで復興してきたのかという苦労話。知り合いの家や人が流された。避難所の生活。被災地の現状。
もう分かったから。という自分の態度に対して、お前らは何も分かっていない!と。
少し酔って話し続ける親父を普段はまぁまぁ、と止めるおかんも、黙って聞いてる。
いつもの、明るく客をもてなす余裕が感じられない。想像以上に両親は精神的に疲れていた。
その夜、寝る前先輩が、俺ら来ない方が良かったのかな、と漏らした。僕はなにも言えなかった。
その夜、寝る前先輩が、俺ら来ない方が良かったのかな、と漏らした。僕はなにも言えなかった。
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